ビジネスをしていると、よく言われるのが「分かりやすく」伝えなさいということです。
しかし、「分かりやすさ」にも種類があります。
表現が分かりやすいのか、内容が分かりやすいのか、ということです。
表現のわかりやすさという点では、中学生でも、素人でも理解できる単語を使うということに関しては私は大賛成です。
しかし、内容のわかりやすさに関しては注意が必要です。
人は具体的な事柄のほうに臨場感があります。
例えば衣食住などの話は日常生活と密着しているので、臨場感があり分かりやすいと感じます。
しかし、概念、外交、システムというような話は自分のビジネスにかかわりがある人以外は臨場感はありませんのでわかりづらいと言われます。
なので、視聴率が欲しいテレビ番組は食べ物、健康、美容など分かりやすいコンテンツばかりです。
分かりやすさばかりを求めていると、結局臨場感が高いもの、つまり自分の身近にあるもの、なじんだものしか学ばなくなります。
特にこのSNSの時代は、自分の趣味趣向に沿う情報ばかりが集まってきて、知らず知らずのうちに、分かりやすいものばかりに囲まれた生活になりがちです。
それはストレスも無くて心地よいですが、
自分の成長、新しい発想、ビジネスの発展という点ではマイナスとなります。
私は出来るだけ臨場感が湧かない、理解がまだできないものを学ぶように気を付けています。
理由はどんな人でも簡単に分かるようなことは知っていたとしても、ビジネス的にも差別化はできないですし、価値のアピールも出来ないからです。
人と同じようなことを話していても、一目置かれるようなことにはなりません。
もし、あなたが人から一目置かれたいなら、是非分かりづらいけれど価値があるものを学ばれることをお勧めします。それは自慢できるからではなく、周りの人たちにも新しい視点を提供できる人になれるということです。
哲学、美学だけでなく、日本の古典芸能、クラシック音楽、純文学、現代アート、数学などいろいろあります。
結局、歴史にもまれ長く受け継がれてきているものは様々な研究がしつくされてますので、奥が深く抽象度が高いものが多いのです。
それらを一つでも学んでいれば、その抽象度の話に慣れることができるようになれば、他の分野のことを理解するのが簡単になります。
とういった抽象度の高いものは、結局行き着く視点は似てしまうからです。
分かりづらいことは悪いことではなく、
それだからこそ価値があるものも多いのです。