日本ではコーチングの資格を取ることの出来る団体が沢山あります。どの団体の資格を取ればいいか?と迷う人も多いでしょうが、資格マニアでなければ、とくに取る必要のない資格だと私は考えます。
コーチング資格の価値
基本的にコーチングの資格とは民間団体の資格です。それが国際的なものであれ。
団体によって、資格を取るのにかかる時間もさまざまで、6カ月以上かかるところもあれば、数日で取得できるところもあり色々です。
コーチングの資格を取って自分の仕事に活かしたり、独立してコーチとして活躍される方もいます。
2005年ごろはコーチングという名前を聞いたことがない人がほとんどでしたが、今では様々な企業や能力開発に取り入れられています。
もともと、日本には人に悩みの相談をするカウンセリングはありましたが、悩みではなくもっと向上したいというより高い自己実現のために相談する一対一で対応するシステムが無かったので、コーチングのシステムをとりいれている所が多いだと私は考えています。
こうして、日本で急速に広がったコーチングですが、今はコーチの資格をもった人があまりにもたくさん増え、飽和状態になっています。
その理由は簡単で、お金を払ってコーチングを受けたい人の数より、コーチングをしたい人の数の方が多くなったからです。
こうなると、コーチの資格を取って独立したり、副業をしたい人はお客様を見つけることが出来ずに苦労することになります。
そのため、コーチングの今の状況はと言えば、コーチングを仕事にしたいけれどクライアントを見つけられない人たちをサポートしますよ、という団体が人気のようです。
マーケティングの専門家と組んで「うちで学べばコーチングの技術も学べて、集客もできますよ」というわけです。
コーチングで独立して働くのは、専門であれ、副業であれ大変です。
百万円近いお金をかけても、コーチの資格を取りさえすれば、収入が得られるなんてことはありません。
ビジネスとして考えるなら、どちらかというと、セールス、マーケティングなどを学んだ方がコーチとして収入を得ることができます。
そう考えると、コーチになる早道は実は今存在するコーチングの資格をとることではないということです。
コーチをめざす人は今就職している人がほとんどですが、
今現在自営業や会社経営者としてきちんと活動出来てる人は自分がコーチングの資格をとって、それを自分の職業にしようという人はほぼいないでしょう。
それはビジネスのことがよくわかっているからです。
そんな民間の資格を今更、この時代に取っても、得をするのはコーチングを売っている団体だけなんだと。
そのことも含めて、これから詳しく書いていきます。
あなたは本当にコーチングがしたいのか?
あなたはなぜ、コーチになりたいのでしょう?
きっと人の助けになりたい、人の役に立ちたい、自分もコーチングで救われたから人にもそれを提供したい、もっも上手くお客様や仲間とコミュニケーションを取れるようになりたい、リーダーシップを発揮できるようになりたい・・・などが理由と思われます。
しかし、こういうことは必ずコーチの資格がないと出来ないことなのでしょうか?
コーチングが好きな人や興味の有る人にはなかなか分かってもらえませんが、一般の人達はコーチングという言葉自体、あまり知らないのです。コーチというとスポ―ツの世界のコーチを思い浮かべる人がほとんどなのです。
そのため、コーチをする人にマーケティングやセールスのアドバイスをする人は何と言っているか知っていますか?
「コーチングをしてます、とは言わないでください。」とアドバイスしているのです。
そうではなくて、コーチングのスキルを使うのだけれども、婚活アドバイザーとか、親子関係改善カウンセラーとかと言いなさいと。
お客様はあなたがコーチの資格をもっているかどうかを重要視していないですよ、ということです。
それなら、コーチングの資格は必須ではないですね。法律的にも問題はありません。
人を導いたり、アドバイスしたりためには何が必要か?と考えればそれはコーチングの資格ではなく、それができる実力なはずです。
なぜ、みんな資格が欲しいのか?
世の中の人は資格や肩書を欲しがります。
それは自分のスキルを他人に分かりやすく証明したいからです。
しかし、よく考えてみれば分かりますが、今どき、○○資格を持っています!と言われただけで信用する人って少ないのではないでしょうか?
世の中の人も、資格、資格といったところで、ピンからキリまであることを十分知っています。
つまり、結局は実力を見られるということです。
よく、マーケティングなどで、実力があっても売る力がないと仕事にならない!ということが言われます。
それを勘違いして、実力がなくてもマーケティングが上手くいけば仕事になると安易に考えてしまう人が多いですが、長く仕事を続けていくには、実力がないと話になりません。
実力がなく、お客様にきちんと価値を提供できなければ、リピーターも増えませんし、悪い噂がインターネット、SNSなどですぐに拡散することでしょう。
短期的な成功ではなく、長期的な成功をのぞむなら、実力を高めることは必須です。
それがあってのセールスやマーケティングなのです。
コーチングだけが人を導く手段ではない
あなたが人にアドバイスやサポートをする仕事をしたいと望むなら、コーチングだけがその方法ではありません。
私は今までの記事にも書いているように、コーチングの根幹をなす主要なメソッドは人を本当に成長させるには不備があると考えています。
(私の主張の根拠について知りたい方は下記をご覧ください)
古い心理学や心の病になっている方のためのセラピーがコーチング理論の根拠にされています。
なかには、脳科学など新しい学問の要素をとりいれたものなどありますが、私が知っている現代哲学や現代アートの世界観から見れば、とても狭い世界観です。
人を導こうという人がしなくてはいけない一番大切なこととはなんでしょう?
それは、人間やそれを取りまく世界を冷徹に見ることができる幅広い思考力と感性です。
そのためには、コーチングの技術を磨くなんてことよりも、もっとアート、哲学、文学、歴史といったリベラルアーツ(教養)を身に着けることです。
(参照:勝つための「教養」)
こういった人類全般の活動や足跡を学ぶべきです。
そうすることによって、人間とはどういう物か?なぜ人はそのように考えるのか?行動するのか?が解ってきます。
コーチングや心理学や脳科学などは人間の活動や学問分野では小さな分野でしかありません。
リベラルアーツ(教養)を教えてくれる場所は、今のところ大学です。民間では、どうしてもカルチャースクール系の趣味のレベルの知識を教えてくれるだけです。
その日本の大学でもリベラルアーツ(教養)を専門課程に移るまでの準備期間と考えているようで、その重要性を理解しているのかもしれませんが、実践してはいないです。
そうなると自分で学ぶしかありません。
私は大学で美学や芸術学を専攻していましたが、今の知識は社会人になって自分で習得したものがほとんどです。
きちんとした専門書を読み、よく考え、それを実生活に落とし込んで仕事をしてきました。
本屋で売られるベストセラーなどにはたいした情報も、知恵も見つけることは出来ません。そういった知識は今の時代、ただ流れ去っていく情報でしかありません。
学ぶとは何か講座を受けたり、資格をとることでもありません。それが、自分の血肉になり、使いこなせなければ意味はないのです。
これからはAIなどの発達により、過去に出来上がった知識の量ではなく、知識文脈の創設の方が重要視されるでしょう。
知識を蓄えるだけでなく、新たに生み出すことがより重要になってくるでしょう。
まさに、アートや哲学的なアプローチが必ず必要とされるはずです。
メタ・アーチングでは、学ぶのは自分自身ではあるけれど、学び方の伝授をしていきます。そうしてレベルの高い思考力が出来るようになった人たちが、人の人生のアドバイスや助けをおこなって欲しいと私は考えています。