コーチングにおける目標設定の盲点

コーチング、カウンセラーはクライアントが目指したい目標の達成に向かって伴走することを目的にしています。

しかし、間違った目標設定自体がクライアントの悩みを増やしていることに、多くのコーチやカウンセラーは気づいていません。

クライアントの原因

クライアントは何か改善したいことがあって、コーチイングやカウンセリングを受けます。

その改善したいこと=目標は、個人的な成長、企業のマネージメント、心の安定など様々ありますが、

コーチング、カウンセリングでは、決定し、実行するのはクライアントで、クライアント自身が解決策を見つけていくのを手助けしようとするものです。

何を目標にするのか?を考えるのはクライアントです。

しかし、ここに問題があります。

つまり、目標設定自体がクライアントの世界観の中でしか行われないということです。

問題設定をするクライアントが高い視点で世界を見ることが出来る人ならいいですが、

今まで世の中の構造に取り込まれてきたけれど、「自分が構造に取り込まれている」ということ自体に自覚がないクライアントの場合、目標設定のやり方自体がよくない場合があります

コーチ、カウンセラーの原因

しかし、このことはクライアント側の問題だけではありません。

コーチングやカウンセリングというのは、心理学や言語学を元に作り出されました。本当の大学で研究されている心理学や言語学を一般の人向けに使いやすく、解りやすくし、コーチングやカウンセリングのメソッドとしたのです。

また、コーチやカウンセラーの資格の質も様々です。

数カ月、数回の講座受講でコーチやカウンセラーの認定資格を出している団体も多いです。

心理学や言語学の両方がそれほど短時間に習得できるはずもなく、それらの学術的な知識の本質を薄めて教えていることは明らかです。

それを受講したコーチやカウンセラーがそのことを自覚していればイイのですが、教えられたメソッドになんの疑問も抱かずに、まる覚えして、クライアントに使用していることは問題があります。

そこで学んだノウハウで現実の問題に対処しようとしても、現実はそんな単純なノウハウで切り分けれるはずはありません。

そうすると、現実とノウハウの間に大きな食い違いが生まれてきてしまいます。

学問の前提概念が学問の限界

心理学や言語学に限らず、学問という物にはそれを外したら成り立たない「前提となる概念」が必ずあります。

心理学でいうと、「心は存在する」という概念、
言語学でいうと、「言葉は存在する」という概念です。

その概念を前提として学問を成り立たせているのです。

別の言い方をすれば、その前提概念がその学問の限界です。その学問を薄めてつくられたコーチングやカウンセリングはそれよりも、もっと狭い世界観で創り出されたものであることは、間違いないです。

学問の前提概念を疑問視する

「心は存在するのか?」「言葉は存在するのか?」という学問の前提をもさらに上の視点で考察するのが現代哲学です。

哲学というと、恐ろしく古い時代の「真理とは?」を考える古代の哲学や「自由とは?」「人間とは?」と考える近代の哲学を思い浮かべる方がほとんどですが、

現代の哲学はそういった問いに結論をだしていて、もっと上位概念の世界を研究しているのです。

そういう現代哲学的な観点からみると、心理学や言語学はある前提条件があるから成り立つ学問であることがはっきりと見えてきます。

だから、悪いというわけではなく、学問という物はそのように前提条件で成り立つものだから仕方ありません。

実は哲学にも限界はあります。しかし、他の学問の前提概念に目を向けている点で、他の学問よりは上の視点で世の中を見ています。

コーチングやカウンセリング業界はそのような限界を知らないのか、知っているけれどビジネス的に隠しているのかどちらかであるというのが私の見方です。

一般的な目標設定

さて、目標設定の話に戻ります。

クライアントもコーチやカウンセラー自身がそのような狭い限界概念のなかで、目標設定するとそれは、目標設定ではなく、「不必要な問題を作り出す」という厄介なことになってしまいます。

目標とは何でしょう?

それは未来においてなりたい自分を言語化したものです。

しかし、未来ほど不確実なものはありませんし、未来などという時間の概念も実はねつ造されたものです。
(このことについてはまた別の機会に書きます)

人は現在からしか、未来を想像することは出来ません。
つまり、現在の自分が未来の自分を規定しているのです。

このことは、コーチングやカウンセリングでもよく言われることです。だから、自分に限界を設けずに未来を思い描きましょう!と。

そうすると、ここから「不必要な問題を作り出す」ことが始めります。

目標が妄想になるとき

そうするとどうなるか?

世の中の在り方や仕組みを知らないクライアント心理学や言語学を薄めたメソッドしか知らないコーチやカウンセリングは「妄想」に入っていきます。

世界の在り方や構造を無視して、妄想から目標設定をしてしまうのです。

妄想から生まれた目標など、妄想でしかありません。

人間や私たち個人にはその時、その時において限界があるのです。
まず、そのことを無視してはいけません。

自分が無力なことを認めることはつらいことです。

「あなたは将来なんでもできます!」
「あなたのままで大丈夫です!」

と言われると、慰められ、いい気分にもなります。

しかし、それは現実とははなれた「妄想」なのです。
ただの妄想が実現することはありません。

妄想が実現したかのように見えるときもありますが、それはどういう時か?

それは他人よりも高い視点で世の中を見通している人が、凡人には理解できない視点と方法で現実を変えたときです。
しかし、それは凡人にとっては「妄想」だったかもしれませんが、本人にとっては現実的な方法だったのです。

どちらにしても、現実を変えるとき、辛くても、不快でも、まず妄想に逃げないで、現実を直視しなくてはいけません。

コーチやカウンセラーはただ人を気持ちよくさせてお金をいただく仕事ではないはずです。

残念ながら、キツイことを言うとクライアントが減るからと、相手を受容してばかりいる方も多く見受けます。

世界の在り方から目標設定をする

では、私たちはどのようにすればいいのでしょう?

私はまず、コーチやカウンセラーがもっと上位概念で世界の在り方を把握する力、メタ認知力をつけること。

そして、その世界の見方をクライアントに教えてあげて、それから目標設定をすることが大切だと考えます。

コーチ、カウンセラーが高い視点をもたないと、クライアントが妄想に走っていることに気づきことができません。

それに気づくことが出来るようになるためには、抽象度の高い上位概念を学ぶことです。

そして、いつもその上位概念も疑い、鵜呑みにしないことです。

具体的ノウハウやビジネス的にねつ造された資格をいくら取得しても、そこにたどり着くことはできないのです。

上質な信頼に足る知識から、出来るだけ正確に世界の在り方を知るということができて、はじめてきちんとした目標設定ができるようになります。

そういう地道なことをしない目標設定は、妄想をあおっているだけで、一時的に高揚感を得ているだけです。