ベストセラー「君たちはどう生きるか」に見る「大人の思春期」のみっともなさ

今「君たちはどう生きるか?」という漫画がベストセラーです。(漫画にしては原作の本文をそのまま掲載したりしてます)

元々は、1954年吉野源三郎が書いた、児童文学です。

中学2年生のコペル君とそれを見守る叔父さんの話です。コペル君がぶち当たる様々な悩みや想いについて、叔父さんは手紙を書いて、アドバイスや感想をよこします。コペル君はそれを読み、自分で考えて成長していくというお話です。

池上彰さんがテレビで取り上げたりしたので、それを漫画化したのでしょう。

しかし、私はこの本がベストセラーだと聞いて、違和感をぬぐい切れません。

児童書に感動している大人

それは、児童書を大人が読んで本気で感動していることです。

今回のベストセラーは中学・高校生が沢山読んだというより、大人が読んでいるからベストセラーになっています。

そして、感動した!感銘を受けた!とレビューに多く書いています。

もちろん、この本(原作)はいい本だと私も思いますし、中学生のころに原作も読んで胸が熱くなりました。

しかし、社会に出て何十年も現実に向い合ってきた私にとっては、やはり「子供にはいい本ですね。」と思いますが、感銘をうけたりはしないのです。

結局この本は、まだ社会に出ていない、「守られた子供」に対して書かれた本です。

だから、言ってることは正しい、まさに道徳としてすばらしいと思いますが、現実社会は「いいことをしましょう!道徳を守りましょう!」だけでは動いていきません。

みんな理想と現実のはざまで、悩み、知恵を絞って理想を現実化しようと試行錯誤しているわけです。

「いいことをしましょう!道徳を守りましょう!」
そんなことは当たり前の話、みんな分かってるんですよ。それをベースにして、それだけで上手くいかないからどうしようか?というステージで話をして、みんな解決策を探っているわけです。

そういうステージが大人のステージだと私は思います。

なのに、上手くいかない現実に対して「いいことをしましょう!道徳を守りましょう!」しか言えないのでは、現実は変わりません。考えたり話をしたりするには、その問題を持ち出す「場のステージ」があるんです。

この本のステージはやはり子供向けでしかありません。

しかも、原作ではなく漫画本がベストセラーですから。せめて原作を読まないと作者が本当に言いたいことは分らないですよ。

読者を否定しないからベストセラー

この本がベストセラーになったのは押し付けがましく「こうしなさい!」と強制してこないところでしょう。

もし、強制が入ったなら「現実社会じゃこうはいかないんだよ!」と反発も出たでしょうが、「君たちはどうするの?」と優しく問いかけられているだけなので、「ああ、いい話読んだな~。」と他人事でスルー出来てしまうのです。

本当にそういう本は自分にとって、いい本なんでしょうか?

あなたはなぜ本を読むのかという問題です。

ただ、感情をゆすぶってくれて、心地よく感動に浸りたいだけならそれでいいでしょう。

でも、大人が感動するレベルの読書って、ただ心地よさを求めるものだけでいいのでしょうか?

私はもっと今の自分の物の見方を完全否定してくれる本を待望してます。

新しい知識、見識は自分の世界観を広めてくれます。

そうして、自分の世界観を広めることで、ビジネスや人生に活かして現実を変えていこうとします。アートや文学作品とはそういうものなのではないでしょうか?

純粋なことは良いことか?

ちょっと前までは社会ではそういうことしか言わない人を「青臭い」といって笑ってました。

今の世の中、純粋な人がもてはやされていますが、純粋っていうのは裏を返せば「世間知らず」なんです。

純粋で世間知らずな人=青臭い
純粋で世の中の構造を理解している=立派な大人

ときちんと区別してました。

今はどうでしょう?

中学・高校生からいい年をした中高年まで、

希望を持とう!
夢は叶う!
愛が大切!命が大切!

と純粋な理想のオンパレードです。

テレビ番組や映画や歌の歌詞なんかはそれでいいですよ。

そうやって、人にカタルシスを与えるのが商売なのですから。

大人の思春期なんか、みっともない

さまざまな娯楽やマスコミで流される言葉、そんな言葉に現実を自分たちで作っていく立場の人間が酔っていてどうするのでしょうか?

漫画「君たちはどう生きるか」を読んでただ、本気で感動しているなら、まだあなたは現実にしっかりと向き合ったことが無いのかもしれません。現実にただ適応して生きてきただけかもしれません。

大人なら児童文学書に感動しているレベルではダメなんです。

ましてやビジネスで成功し、自分のコンテンツを広めていこうという人が、児童書レベルでは話にならないのです。

いい加減「感動しました!」と他人事の感想を言うのは止めて現実に向い合っていきましょう。

この原作が書かれた時代は思春期が中学・高校生だったけど、現代は思春期っていい大人になって迎えるものなんですね。

大人の思春期なんて、早く卒業しましょう。

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